この記事の要点
「著作権をください」ではなく、使う主体、媒体、期間、地域、改変、第三者共有を具体化して許諾範囲を確認します。支給素材と制作者使用素材の条件も別々に記録します。
必要な項目から読む
まず押さえる論点
料金を払えば自由に使えると思い込み、別媒体への転用、色替え、他業者による修正、第三者素材の利用が契約範囲外だと後から分かる。
料金の支払いと著作権の移転は別に考える
地図制作の代金を支払っても、著作権が自動的にすべて依頼者へ移るとは限りません。一方で、事業用Webサイトやチラシへの掲載が契約上許可されていれば、目的のために必ず著作権譲渡まで求める必要もありません。まず、誰が、どの媒体で、どの期間、どの地域に使うかを具体的にします。
複数店舗、系列企業、広告代理店など依頼者以外が使う場合は、その範囲も伝え、見積もりとメッセージに回答を残してください。
二次利用と改変の予定を具体的な行為で尋ねる
「商用利用可」だけでは、Web用地図を名刺へ載せる、色を変更する、翻訳文を加える、地図の一部を切り抜く、別の制作者へ道路変更を頼む、といった行為まで分かりません。将来起こりそうな使い方を列挙し、それぞれ可能か、追加料金や事前連絡が必要かを確認します。
編集用データを受け取ることと、自由に改変・再配布できることも別です。不要な権利まで広く求めると費用が増える場合があるため、運用に必要な範囲へ絞ります。
地図の中で使う素材には、それぞれ別の条件がある
完成地図の権利条件を合意しても、配置したロゴ、写真、アイコン、フォント、公的データには別の利用条件があります。依頼者が支給する素材は、制作者へ渡して加工・掲載できる権限があるかを依頼者側で確認します。制作者が用意する素材については、商用利用、媒体数、編集データへの同梱、クレジット表記を尋ねます。
Web地図の画面キャプチャや他者の案内図を、許可確認なしにトレースする依頼は避け、出典と加工表示が必要なデータは記録します。
住所の公開範囲と制作者の実績掲載も合意する
店舗の住所は公開情報でも、予約者だけに知らせる施設、学校、工場、私有地を含む地図では公開範囲への配慮が必要です。制作者が作品例として地図を掲載できるか、公開できる時期、施設名や住所を伏せる必要があるかを依頼前に伝えます。また、納品後に制作実績の画像が検索結果へ残る可能性も考えます。
秘密保持が必要なら対象情報と期間を具体化し、契約に含めます。権利だけでなく、安全とプライバシーの条件を同じ確認表で管理してください。
依頼前に整理する順序
- 地図を使用する法人・店舗・イベント名を一覧にする
- Web、SNS、印刷、看板、広告等の利用媒体を洗い出す
- 将来の文字変更、色替え、他業者編集の必要性を判断する
- 支給するロゴ、写真、地図資料の利用条件を確認する
見積もりで確認したい条件
- 複数企業やフランチャイズ店舗が同じ地図を使う
- 有料広告、商品、出版物など利用範囲が広い
- 著作権譲渡、独占利用、第三者編集を契約へ含めたい
- 公的地図、交通事業者ロゴ、有料素材等を組み合わせる
依頼時に渡す情報
- 依頼者と実際に地図を使う主体の名称
- 利用予定の媒体、地域、期間、点数
- 広告、販売物、複数拠点等への利用予定
- 改変、切り抜き、色替え、翻訳の予定
- 編集用データと第三者共有の必要性
- 支給するロゴ、写真、参考資料の出典と許可
- クレジット表記や実績公開に関する希望
公開・依頼前の確認項目
未確認の項目を残さず、該当しないものはその理由も記録します。
- 商用利用が料金に含まれるか確認した
- 別媒体・別店舗・広告への二次利用範囲を確認した
- 自社または他業者による改変可否を確認した
- 元データと使用素材の権利条件を確認した
- 必要な出典・クレジット表記を記録した
- 制作者の実績公開で住所等を出せる範囲を合意した
公式情報・確認先
公式ページ確認日:2026年9月5日。掲載条件は変更されることがあります。
- 文化庁:著作権契約書作成支援システム制作・利用に関する契約条件を整理するためのひな形(すべての契約類型は含まない)